自由診療の医療機関が考えるべきアクセスとは?

「医師もコメディカルも、医療者は医療者としての使命感をもち高みを目指している。これは当院に限ったことではないし、自由診療を扱う医療機関ならばなおさらです」

こう話してくれたのは、年間2万人以上の女性が訪れる医療機関「イーク丸の内・表参道」のゼネラルマネジャー 白根真さん。同院は、2008年に東京駅丸の内南口のTOKIAビル内に開設した女性専用の健診クリニックで、2013年には姉妹院の「イーク表参道」も開設。乳がんや子宮頸がんをはじめとした女性特有の疾患の予防や早期発見に注力した、女性専用の人間ドックが人気です。

健診センターや予防医療サービスのコモディティ化がすすむ中で、同院が女性に支持され続ける理由、口コミ評判を集める強み、立地の良さだけに頼らない「アクセスを改善する」という考え方についてお話を伺いました。

画像: 白根真|Makoto SHIRANE 女性のための統合ヘルスクリニック[イーク丸の内・表参道] ゼネラルマネージャー。 明治大学商学部卒業後(株)ミスミにて徹底した顧客視点のビジネスモデル「マーケットアウトビジネス」をベースに、医薬品・医療材料のカタログ通販事業に従事。 2003年12月(株)メディヴァに参画。

白根真|Makoto SHIRANE
女性のための統合ヘルスクリニック[イーク丸の内・表参道] ゼネラルマネージャー。
明治大学商学部卒業後(株)ミスミにて徹底した顧客視点のビジネスモデル「マーケットアウトビジネス」をベースに、医薬品・医療材料のカタログ通販事業に従事。 2003年12月(株)メディヴァに参画。

女性のための医療機関《イーク》について

画像: イーク丸の内エントランス。職場の同僚の口コミで来院される方も多いという。 www.ihc.or.jp

イーク丸の内エントランス。職場の同僚の口コミで来院される方も多いという。

www.ihc.or.jp

ーー イーク丸の内・表参道の特徴を教えてください。

女性専用クリニック「イーク」は、女性医師と女性スタッフによる女性のためのクリニックです。受診者様、患者様が女性というだけでなく、人間ドックや婦人科健診、専門外来など、当院の商品にあたる「医療」も女性の健康を守るという目線で、考えぬかれています。年代別の疾患リスクや、検査のメリット・デメリットを含め、最新の情報と照らし合わせアップデートを重ねながら提供しています。

ーー 2013年には表参道に分院を設立されましたね。

イーク丸の内の姉妹院として、イーク表参道を開院しました。人間ドックや検診は、早期発見のためにも、毎年継続して受けてほしい。にもかかわらず2011年ごろから、混雑のせいでイーク丸の内の予約がとりにくく、既存の受診者様がリピートしたくてもできないという状況になっていきました。これが、イーク表参道を開院したきっかけです。

イークの中であれば、丸の内でも表参道でも、過去の健診データを共有できます。昨年のデータと比較できる。これは、病気の早期発見を目指す健診医療機関としては、とても重要な点です。ご来院くださる方にとっても、大きなメリットです。

強みは「医療の質」と「アクセス」

画像: イーク丸の内、イーク表参道ともに、人間ドック健診施設として認定を受けている。

イーク丸の内、イーク表参道ともに、人間ドック健診施設として認定を受けている。

ーーここ数年で都内には、女性専用フロアやレディースデイをもつ健診施設が増えました。その影響は感じますか? とくに影響をうけていない場合、その理由をどう考えますか?

おかげさまで来院者数は年々増えていますので、今のところ影響はないと考えています。

イークには2つの強みがあります。ひとつは、女性に特化した「医療の質の高さ」。もうひとつは「アクセスの良さ」です。どちらにも自信はありますが、選ばれる理由としては「アクセスの良さ」じゃないでしょうか。

ーー医療の質より、アクセスですか?

もちろん「医療の質」、特に「女性のための医療の質」は当院の強みです。ドクターもコメディカルも、医療者として“女性の健康を守る”という使命感と向上心で高みを目指しています。

当院は健診や人間ドックだけでなく専門外来もおこなっていて、たとえば乳腺外科では、週1回、すべての診療が終わったあとにカンファレンスが開かれます。検査スタッフは、聖路加国際病院ブレストセンターに所属する乳腺外科専門医による指導を受け、正しい、新しい知識を共有します。

人間ドック学会やマンモグラフィ検査精度管理委員会の認定も取得し、精度や体制の維持を客観的に評価いただけるようにも取り組んでいます。

しかし医療機関なら、検査精度の追及は当然の使命。このような努力は、他の医療機関でもしているはずの努力です。また人間ドックや健康診断は、医療である以上、検査項目や価格の制限も多く、「商品」としてはコモディティ化しやすいとも言えます。

厳密には、医療施設ごとに得意分野や多少のレベルの差はあるのでしょうが、一般の方々が、それをパッと見分けるのはむずかしい。それくらい、どこの施設も医療的に高いレベルのところまできていると信じています。その中から、毎年イークを選んでくださる方がこれほどいらっしゃる理由を考えると、やはり「アクセスの良さ」が決めてではないかと思うんです。

「物理的アクセス」と「心理的アクセス」

画像: イーク丸の内はJR東京駅丸の内南口。はとバス乗り場の向かいのビルが東京ビルTOKIAだ。

イーク丸の内はJR東京駅丸の内南口。はとバス乗り場の向かいのビルが東京ビルTOKIAだ。

ーー たしかに丸の内も表参道も、都内で暮らす女性にとってアクセスしやすい場所といえますね。

はい。ただ「アクセス」と言いましても、立地条件や交通アクセスだけを指すつもりはありません。「心理的なアクセス」を事務方のスタッフが中心となり意識的にブラッシュアップしつづけている点が、今のイーク丸の内・イーク表参道の強みになり、多くの女性に選んでいただける理由になっていると考えています。

ーー その考えに至った経緯を教えてください。

「アクセス向上」という言葉に集約できたのはここ2年くらいの話です。ファイブ・ウェイ・ポジショニングというフレームワークがきっかけでした。自社事業をユーザー視点でビジネスの取引の要素「価格」「商品」「サービス」「アクセス」「経験価値」を評価するという考え方ですね。

今でこそ言えますが、開院1年目のイーク表参道には、イーク丸の内ほどの集患力がありませんでした。イーク表参道では明日の人間ドックも案内できるのに、イーク丸の内は予約3か月待ちといった状況。一見すると丸の内も表参道も、どちらも一等地にみえる場所です。医療の質も価格もスタッフのレベルも同じなのに、エリアによってこれほど違うのかと驚きました。

その後、集患のための施策を重ねていく中で、「アクセス=来院者様とイークの距離」という捉え方に行きつきました。開院してしまったら、駅からクリニックのエントランスの距離は移転でもしない限り変えられません。でも一人の女性に「このクリニックで受けたい」と思ってもらい、実際に来ていただくまでの、その方と僕らとの距離感をなんとか縮めようという姿勢であれば、我々スタッフにできることはいくらでも見つかりますよね。ここから「アクセスは改善できる」という考え方にいたりました。

後編では、2つの「アクセス」についてさらに具体的にお話を伺います。

取材・文:塚田史香
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